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暴走するNHK

 テレビ放送の没落ぶりが目に余る.政府の提灯持ちはするけれど,それ以外の政治に関してはまるでタブーである.どの放送局も,当たり障りのない話題に終始している.ネコ,食べ物,スポーツ,芸能界,... たとえて言えば,家が燃えているのに,その話題はタブーで,道ばたのお花の話ばかりしているようなものだ.この国は大変な危機に陥っている.

 「政府が右と言うことを左と言うわけにはいかない」と言ったらしい.NHKの会長になった,その就任会見での籾井氏の発言である.今後NHKは政府の広報機関になります,という宣言のようなものだ.どうひいき目に見ても,ジャーナリズムの基本をハズしている.こういう人がトップである巨大マスゴミの報道は,とても信用できない.

 まさに戦時中の大本営発表だ.負けている戦争を勝った勝ったと報道し,退却撤退を転進(作戦変更?)と言いくるめた.同じ姿勢を3.11以後のNHK報道はとり続けている.今後は会長自らが率先して,この大本営発表を実践して行きます.まあ,そのような発言だと理解できる.NHKは不偏不党ではなく,公共放送でもなく,政府の広報機関でしかない.そういう宣言だ.

 しかも籾井氏は就任そうそう,10人の役員全員に,日付欄を空白にした辞表を提出させたのだという.まさかそこまでは,と最初思ったけれど,その後の展開を見ると,もはや疑うことのできない事実である.植草一秀氏の「知られざる真実」によると:

(以下転載)
 NHKの「人」の支配の構図は、内閣-経営委員会-NHK会長-NHK理事会という流れになる。内閣総理大臣が経営委員を任命し、経営委員会がNHK会長を任命する。

 NHK会長は経営委員会の同意を得てNHKの理事会メンバーを任命する。(中略)そして、安倍政権がNHK会長に送り込んだ、偏向した籾井勝人氏は、NHK会長就任に際して、理事に辞表を提出させていた。
(転載おわり)

 衆議院でのやり取りの中で籾井氏は,「辞表を預かったことで理事が萎縮するとは思わない」と言ったらしい.「一般社会ではよくあることだ」とも.

 この人,本当にNHK会長ですか.早くやめて欲しいと思う.誤解や勘違いではない.どこで間違えたという話でもない.何もかもが間違っている.

 一般社会で「よくあること」かどうかは分らない.堂々と実施できるような事ではないのだから,実施したとしても秘密だろう.籾井さんは何かをご存じで,それが道理に背くことでないと言うのなら,どういう会社の誰がいつやったのかを公表すべきでしょう.

 もう1つの間違いは,一般社会で「よくあること」だからNHKもそうして構わない,という論理.ジャーナリズムは一般社会とは違う使命を担っている.一般社会と同じで構わないという発言は,そういうジャーナリズムの特殊性,社会的重要性を認識してない証拠です.

 辞表を提出させることで,会長の意に沿わない事があればいつでも会長独断でクビにできる,という客観的状況が生じる.ピストルを構えて,下手に動けばズドンだぞ,という客観的状況を作り,これで皆が「萎縮するとは思わない」と言っているようなものだ.それ以外にどういう効果を期待して辞表を提出させたのか,合理的に説明できる所為ではない.

 それだけ真剣に取り組んで欲しいという趣旨だ,というようなことを籾井氏は言っていた.そうであれば,と誰かが言った.籾井さんご自身も,当然ながら辞表を書いたんでしょうね?

 理屈をこねまわすのも時間の無駄だ.要するに,政権べったりの人が,自分の意に沿わない人をいつでもクビにできる体制を造った.そういう事だ.ここまで明快な事実を見て,なおNHKがジャーナリズムとして機能すると考えるのは愚かである.籾井氏は1日も早く会長を降りて欲しい.受信料を払っている一市民として,私はそれを強く要望します.

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