SSブログ

ウサギの話

 NHKの「ワイルドライフ」(だったか?)という番組で,英国のアナウサギを紹介していた.ということで今日はウサギ談義です.

 アナウサギのことを英語で rabbit と言います.知ってるネ.ペットとか動物実験用のウサギはアナウサギです.野生のものを「アナ〜」と呼ぶ理由は,ノウサギと比較すればわかる.ノウサギは子供を地上に産むのに対し,アナウサギは穴を掘って,その中で子供を産む.

 英国のノウサギは手足が長く,草原の上を飛ぶように走る.精悍な動物だ.対してアナウサギはぴょこんぴょこんと跳ねるように走る.「美しい自然が〜」とNHKは言っていたけれど,アナウサギがよく見られる場所は,人為の加わった場所が多い.本当のワイルドな自然にはノウサギが住んでいる.ノウサギは英語ではラビットではなく hare といいます.

 日本にいる野生のウサギはノウサギです.英国のノウサギと違って手足が短く,まるでアナウサギのように見える.脱兎(だっと)のごとくという言葉があるので,足は速いかもしれない.ニッサンのクルマがダットサンと自称していたのは,ノウサギの速さにあやかりたいという願望からかも,それにしても日本のノウサギは,英国のノウサギのように,草原を「飛ぶように」走るとは思えない(想像できない). それ以外の動物学的な(解剖学的な?)属性から,アナウサギではなくノウサギとされているのでしょう.子供を地上に産むという習性から言っても,まさにノウサギ.

 英国ではどうか知らないけれど,日本のノウサギは野兎病を持っていることがある.これは野兎病菌Francisella tularensis というバクテリアによる病気だ.人は吸血昆虫とかダニを介して感染するし,皮膚から直接感染することもある.空気を吸って感染した人もいる.だからノウサギの死体に素手で触るのは,やめた方が良い.野生動物の研究家はウサギの死体を扱うことも多いと思うので,くれぐれも注意して欲しい.

 英国のアナウサギというと,すぐ連想するのがピーター・ラビットという絵本.この本からも判る通りラビット(アナウサギ)は農作物を荒らす害獣だ.作者のベアトリックス・ポターは,この本を書くことで,湖水地方の自然を守り抜いた.ナショナル・トラスト運動の元祖とでも言うべき存在です.今やポターの家も含め湖水地方は世界中から(特に日本から)観光客を呼び込む重要な観光資源となっている.

 毎度のことながらNHKのネイチャーものは,ツッコミどころもたくさんある.その話は,また今度にしよう.
nice!(2)  コメント(3)  トラックバック(0) 

nice! 2

コメント 3

Ladybird

 shira様,nice!をありがとうございます.
by Ladybird (2012-12-06 14:21) 

ayu15

何が安全かよくわからないです。(^_^;)
by ayu15 (2012-12-14 22:53) 

Ladybird

ayu15様,nice!とコメありがとうございます.
 最近は野兎病の噂をあまり聞きませんが,そういう知識は持っておいた方が良いと思います.
by Ladybird (2012-12-16 23:18) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。