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アクセル or ブレーキ?

 日本はいま大変な危機に直面している.参議員選挙で与党が圧勝する勢いなのだ.

 だから何だ? という意見もあるだろう.国民の支持を得た政党が国政を担当する.それでこそ民主主義なんだ,と.

 そうだろうか? 日本の民主主義は,よく機能しているのだろうか? たとえば国会だ.あの空疎なやり取りを見て問題を感じないだろうか? 今の国会は政府の方針を承認するだけの舞台装置でしかない.立法府として機能していない.この原因は,与党が絶対多数を占めているからだ.何を議論してもしなくても,政府が出した議案は国会を通過してしまう.だから実質的な議論は行われない.

 国権の最高機関たるべき議会がこの調子である.裁判所も政府に楯突くような判決を出さない.出すこともあるが,要所要所でしっかり政府の意向に従っている.つまり今の日本では三権分立が機能していない.

 そういう状況下での参院選だ.仮に与党が圧勝すれば,次は憲法改正だ.国民投票ではカネのあるサイド,つまり与党側が圧倒的な宣伝力で世論を牛耳ることだろう.

 憲法改正おおいに結構,望むところだ,という意見もあるだろう.そう思う人は自民党の改憲案をしっかり検討してほしい.

 日本の政治システムの最大の欠点は,バランスが一旦崩れ始めると,ズルズルと同じ方向に向かって暴走してしまうことだ.アクセルばかり機能して,ブレーキのない状態になってしまう.

 バランスを保持するための1つの仕組みが三権分立だけど,今すでに上記の通り.ブレーキの効かない状態になっている.自民党の改憲案も,政権の暴走を許容する内容になっている.現行憲法が持っているブレーキの機能が,憲法改正によって失われてしまう.つまり政権は完全な暴走状態に突入することになる.

 いま日本国民に求められていることは,暴走状態に入ってしまう前に何らかのブレーキをかけることだ.その最も有効な方法が選挙だ.与党の絶対多数の状態を許さないことだ.

 自分は自民党支持だから,という人も考えてほしい.いま自民党をこれ以上肥大させることが,どういう結果を招くだろうか? 今の日本に必要なものはブレーキだ.今は野党の議員数を増やすべき時です.


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NHKがヘンだ

 NHKの報道がヘンだ.
 ずっとそう思ってきたけれど,最近やっとマスコミが取り上げ始めた.

 まず毎日新聞:
NHKの政治報道、変だ 「安倍政権寄り」と保守系誌も批判
https://l.mainichi.jp/OFZq5zN
 NHKの政治報道が変である。今年に入り、論壇誌が相次いで「安倍晋三政権寄りが目に余る」などと報道姿勢にモノ申す特集を組み、NHKのOBらが古巣に抗議する事態になっているのだ。物議を醸した籾井勝人前会長が退任して2年。公共放送はどこへ向かっているのか?
(以下略)

 そして週刊金曜日:
http://www.kinyobi.co.jp/tokushu/002749.php
 安倍晋三首相の「支持率高止まり」はNHKのおかげ――。こんな声も聞かれるほど、第2次安倍政権における定時のニュースを中心としたNHKの政権寄りの姿勢が目立つ。政権に都合の悪い情報は極力小さく扱うか無視する一方、首相の人気取りにつながるような報道がはびこる.
(以下略)

 朝日新聞もやっと沈黙を破って,こういう記事も:
https://www.asahi.com/articles/ASM3J6K4LM3JPGJB00V.html?iref=comtop_rnavi_arank_nr01&fbclid=IwAR2taGRx_mSYvuNNT2c8WsTyMHnA-0WBCg8G8bM2geDoWUO4CMEoltPDm7I
 森友学園問題が明らかになった当時、相沢さんは大阪報道部にいた。当初、NHKでは全国ニュースにならなかった。売却価格の決定過程に関する特ダネは約2カ月、放送されなかった。やっと放送されたその3時間後、「あなたの将来はないと思え」と当時の上司が電話で激怒されている姿を目の当たりにした。
(以下略)

 NHKによる「忖度」もあるのでしょう.しかし根底には,マスコミによる批判に不寛容な安倍政権の姿勢があると考えたほうが,より自然だと思いますね.こういう報道もありました:
https://hbol.jp/188771?fbclid=IwAR0HxAoWg852Qbut0tBXkdIPBxaeyFD72ChjaFzyWfpCmoAiMwTZwSvMX1g
 前代未聞、極めて異例なことだ。3月14日、首相官邸前で新聞記者などメディア関係者ら600人がデモを行い、内閣官房記者会見での政府関係者による望月衣塑子記者(東京新聞)への嫌がらせに対して抗議した。  多くのメディア関係者らがデモという直接行動に出るようになった背景には、安倍政権が露骨に「報道の自由」への圧力を加えてきたことへの危機感がある。  14日の官邸前デモを主催したのは、日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)。新聞、放送、出版、映画、広告等それぞれの労働組合の連合会、協議会等で構成された組織だ
(以下略)

 いま日本のマスコミは政府に尾を振る忠犬に成り下がっている.特に犯罪的なのがNHKだ.
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性の効用

生物には性(sex)がある.なぜ性があるのか? なぜオスとメスなのか? その他,性をめぐる疑問は,生物学の大きな課題である.

 セックスによって子孫を作る.これを有性生殖という.有性生殖は通常,減数分裂と受精とから成っている.受精とは2つの細胞核が融合して1つになる現象.

 有性生殖の反対は無性生殖.細胞が分裂して増えたり,イモから芽が出て植物体を作ったり,いろいろある.しかし共通していることは,減数分裂も受精もないこと.細胞が分裂して増えることだけに依存して生物が増殖して行く.これが無性生殖.

 有性生殖によって生物は遺伝子を混ぜ合わせる.それによって多様な遺伝子の組み合わせができる.有性生殖がもたらすものは多様性だ.これは無性生殖が単にコピーを作ることと対比される.多様性は生物が病原体と戦ううえで必要なのだ.だから生物にはセックスがあるのだ,と主張するのが「赤の女王」説.

 さて,ゾウリムシの接合を調べれば,有性生殖には「遺伝子の混ぜ合わせ」のほかに,もう1つの働きがあることが推測できる.それは「若返り」だ.


 ゾウリムシの接合は有性生殖である.つまり減数分裂と核の融合を含んでいる.接合をしたゾウリムシは若返る.そして活発に分裂を重ね,やがて再び「成熟」する.つまり接合が可能な状態になる.この段階で首尾よく接合できれば良いけれど,実験的にゾウリムシが接合できないようにすることもできる.接合できないまま分裂を重ねると,やがて分裂の頻度が落ちてくる.つまり「老化」が起こる.そして,やがて死に絶えてしまう.

 なぜ接合(有性生殖)によって若返るのか? そもそも老化とは加齢とはどういう現象なのか? これらの問題解明に,ゾウリムシは絶好の研究システムを提供してくれている.
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人工干潟は信頼できない

 新堀川にフタをして道路にする計画は,批判が大きかったせいか,少し変更された.この新しい案では川の西側にある道路を拡幅し,同時に川の位置を少し東にズラす.これで川の自然は守れるというのが高知県土木部の主張らしいけれど,私はやはり問題があると思う.

 そこで,次のような趣旨の意見を「高知新聞」に投書してみた.

===========================

 新堀川と周辺の整備については,今ある自然をできるだけ残して行くことを基本に考えて頂きたい.提示されている案から選ぶなら,第3案「現状のまま」を支持する.

 他の案で特に目につくのは「干潟の造成」である.このような「干潟」ではシオマネキほか,いま当該地に生息している生物相が存続する可能性は非常に低い.水の生物を多少とも扱った経験のある人なら,この計画が生物の保護に結びつかないことは容易に理解されるはずだ.

 そもそも新堀川の干潟は川の流れの変化,水の停滞などの条件により自然にできたものである.人工干潟を造っても,その後の水の流れによって,その干潟が生物に提供する諸条件は変わって行く.たとえば干潟を構成する泥土の性状(粒子径や成分)も変わる.
 シオマネキが摂食している珪藻類についても,水が運んで来る藻類の種類や量は,カニなどの生物にとっての干潟環境を作る大きな要員である.計画されている人工干潟では,そのような要因が考慮された痕跡がない.

 したがって,今の計画第1,2案で提示されている人工干潟は,シオマネキの保護に結びつかない.いま自然にある良好な環境を捨てて,わざわざ粗悪な環境を造ることになる.シオマネキ保護計画というよりはむしろ,シオマネキ駆除計画である.よって第1,2案には強く反対します.
 新堀川周辺の景観やアメニティについては,もっと別の観点から計画を練っていただきたい.とりあえず「まず道路ありき」でそればかりが先行し,自然保護をこれほど無視した計画には反対するしかない..


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まっくら森のうた

 谷山浩子が歌っていた「まっくら森の歌」.

 この「まっくら森」は,「安倍政権下の日本」に似ている.たとえば1番の歌詞は,

 ひかりの中で 見えないものが
 やみの中に うかんで見える
 まっくら森の やみの中では
 きのうはあした まっくらクライクライ
http://j-lyric.net/artist/a00202c/l015caf.html

 光の中で見えなかったものは「憲法の大切さ」.
 安倍政権下では「きのうはあした」.つまり日本の未来は過去とイコール.

 2番以降の歌詞も,安倍政権にピタリと当てはまります.

 さかなはそらに ことりは水に
 タマゴがはねて かがみがうたう
 まっくら森は ふしぎなところ
 あさからずっと まっくらクライクライ

 安倍政権下では「健全な常識」が通用しない.
 たとえば,首相の発言はウソばかり.これほどウソをつき続けても,マスコミは何も言わない.

 みみをすませば なにもきこえず
 とけいを見れば さかさままわり
 まっくら森は こころのめいろ
 はやいはおそい まっくらクライクライ

 聞こえるのは安倍政権を賞賛する雑音ばかり.真実を知りたいと耳を澄ましても,何も聞こえない.マスコミは政権批判をタブー視し,官僚は政権に不都合な情報を隠蔽し,または証拠隠滅する.
 政権が目指すのは戦前.過去の日本.時計の針は逆向けに回っている.
 速いは遅い.黒いは白い.赤信号は青信号.

 どこにあるか みんなしってる
 どこにあるか だれもしらない
 まっくら森は うごきつづける
 ちかくてとおい まっくらクライクライ

 安倍政権が目指すのは憲法改正.
 そのことは,みんな知ってるはずだけど,なぜか問題にならない.
 NHKの大本営発表は,安倍政権の人気取り報道ばかり.雑多な情報に国民は振り回されてしまって,「どこにあるか」を見失っている.

 そして「共謀罪」.これは,かの悪名高い「治安維持法」と同じです.まさかそんな大げさな,という反応が,私の身辺では多い.ありえないと思いますか?
 遠いように見えて,じつは近い.それが治安維持法です.

再訪 「赤の女王」説

 ・・・女王さまは言いました.「よいか,ここでは,おなじ場所にとどまっておりたければ,力のかぎり走らねばならんのじゃ」 (キャロル著,脇明子訳「鏡の国のアリス」岩波少年文庫)
キャロル赤の女王図.jpg


 「赤の女王」説は,「生物にはなぜセックスがあるのか?」という大問題を扱った学説です.
 生物はセックスがなくても子孫を作れます(無性生殖).ただし無性生殖では遺伝子は変りません.子は親と全く同じ遺伝子です.子が何人(何匹)生まれようと,みな同じ遺伝子をもっています.無性生殖とは親のコピーを作ることです.
 
 これに対し,有性生殖では多様な子孫が作られます.環境が変化する時は,有性生殖のほうが有利になります.しかし環境が一定であれば,無性生殖に比べ有性生殖は圧倒的に不利です.
 だから現存の生物の大多数が有性生殖を採用している理由は,生物の生きている環境というのは見かけほど一定ではなくて,じつは時々刻々と変化するものに違いない,と考えられます.

* * *

 では,その時々刻々と変化する環境とは,どういうものでしょう? さまざまな「環境」が変化するでしょう.しかし最も重要なのは病原体の存在,かもしれません.

 生物と病原体の関係は,軍拡競争によく例えられます.それはしばしば,一方が生存すれば他方は滅びるという熾烈な勝負になります.負けそうになった側は,遺伝子の組成を変えます.そして勝ちに転じたら,こんどは相手の負けが混んできます.そこで相手も遺伝子の組成を変える必要がでてきます.こういう関係が続く限り,生物も病原体も,どちらも常に遺伝子組成を変える必要性に迫られているわけです.

 ところでこの場合,「軍拡競争」という比喩は,あまり適切でないかもしれません.ナイフで殺し合っていたのがピストルに,ピストルが大砲に,大砲が爆弾に,というような軍事技術の拡大や充実とは少し違っています.生物と病原体の競争は,むしろジャンケンに似ています.相手がグーを出している時は,こちらはパーを出せば良い.相手がチョキに切り替えたら,こちらはグーを出す.こういう競争では軍備の拡大や進歩はありません.相手の出方によってこちらも出方を変えるだけです.そこにあるのは「変化」であって,必ずしも「進歩」や「拡大」ではありません.

* * *

 生物集団の遺伝子の組成が変化することを,生物学では「進化」といいます.その定義を採用すれば,生物と病原体とは生き残るために,共に「進化」し続けているわけです.進化によって生物は進歩することもありますが,ジャンケンのように同じ所をぐるぐる回っているだけの進化もあります.生物学的には「進化」とは「変化」であって,必ずしも「進歩」を意味しません.

 病原体も含め,生物は他のさまざまな生物とともに生きています.こういう生物的環境は時々刻々と変化するので,生物は無性生殖で自分のコピーさえ作っておけば良いというわけにいきません.有性生殖を行なって,「全速力で進化し続ける」ことが常に要求されています.それはルイス・キャロルが「鏡の国のアリス」で描いた「赤の女王」の国とどこか似ています.

 「この世にセックスが存在するのは,生物が病原体と闘わねばならないからだ」と主張する学説が,「赤の女王」説と呼ばれるのは,そういう理由からです.

放射能は土中に拡散する(再掲載)

 今回も再掲載.2012年6月2日の記事です.

(以下再掲載)
 内部被曝をひき起こすものは放射活性(放射能)をもったホコリである,ということを前回書いた.このホコリの性質をしっかりイメージしておくことが,被曝を防ぐことに役立つと思う.そこで今回は,このホコリ(死の灰)の性質について,もう少し書いてみたい.

 次々と登場するインチキ専門家が「安全神話」を垂れ流していることで有名な国営放送が,朝の番組でこういうことを言っていた.
1.放射能を測定する機械(計数器?)がビルの屋上に設置されているのは不適切という意見がある.たしかに,あまり高い所は不適切なので,地上1メートルぐらいのところで測定するのが良い.
2.放射性物質は土の表面近くにあって,土中深くしみ込むことはない.

 「ホントならマル,ウソならバツをつけよ」という試験問題なら,私なら1にも2にもバツをつける.1は言い方が微妙だが,人の(特に子供の)内部被曝を問題にするのなら,測定すべきは地上1メートルでなく0メートル,つまり地表の放射線量でしょう.
 で,今回特に書いてみたいのは2についてです.地表に降り注ぎ,土に付着した放射性物質は,土中深くしみ込むことはないだろうか?

 土は人が耕さない限り上下が混ざり合うことはない,と一般にイメージされているかもしれないが,それは違う.なぜなら土の中には生物が住んでいる.そういう生物の活動が活発であれば(つまり「自然」が生きていて,豊かに息づいていれば),土は常に「耕されて」いる状態にある.

 かの進化論の元祖チャールズ・ダーウィンは,ミミズの働きに注目した.ミミズは土を食べる.そして糞として土を排泄する.この働きが土を「耕す」.表層の土と深部の土は,こういう土壌動物の作用で常に混ぜ合わされている.
 歴史はなぜ「発掘」されるのだろうか.どうして過去の遺跡は土の中に埋もれているのだろうか.それはミミズの働きなのだ,というふうにダーウィンは考えた.

 クソミミズという名のミミズがいます(この日本語名,変えられないものでしょうか).芝生などで地面に小さな穴があいていて,その穴の周囲に乾いた土が盛り上がっているようなら,それは多分クソミミズの穴です.このミミズの働きは明快です.土を食べる.そして地表に糞をする.結果として土を下から上にいつも運んでいることになります.ミミズが食べない成分(たとえば遺跡)は年数を経るごとに土中に沈み込んで行きます.

 放射能を含む土も,ずっと地表にあるだろうとは考えにくい.土壌生物の働きで土は自然に耕され,混ぜ合わされるので,放射能もあちこちに散らばります.そして全体としての平均的な結果は,最初は地表にあった放射性の土は,放射性の「層」として,次第に地下に沈み込んで行くだろう,と考えられる.

 学校の運動場なら表面の土を除去することができる.しかし死の灰が降り注いだエリアには森も畑もある.除去されなかった放射能は土に混ぜ込まれて行く.
 そういう場所で耕作や宅地造成をしたら,どういう事になるんでしょうね.

放射性物質と病源体(再掲載)

 今年も3月11日がやって来る.報道も下火になって福島の本当の現状はわからない.空間線量が年間20mSv以下ならば住民は帰郷しなさいなどという,とても正気と思えない政策を,今の政府は押し進めている.この国はどこまで狂って行くのだろう.

 3.11にちなみ,福島事故関係の昔の記事を転載します.

(以下は「へなちょこ自然保護」2011年5月29日の記事を転載)
 放射線の健康への影響に関し,いま最も注意すべきは「内部被曝をどう防ぐか」である.つまり放射性物質を体内に取り込まないために,どういう注意が必要かという知識である.

 それは「病源体を取り込んでしまわない」ための注意とよく似ている.もちろん放射性物質と病源体との違いは色々ある.たとえばアルコール消毒などは,放射性物質には全く無効である.
 いろいろ違いはあるが,ここでは共通点に注目する.それが「内部被曝を防ぐ」ため大いに参考になると思うからである.

 放射性物質がどのような形で存在しているか,本当のところ私は知らない.分子の状態で,つまり気体として空気に紛れ込んでいるのかもしれない.しかし放射線の測定場面などの映像を見る限り,多くは土やホコリに付着しているらしい.だから汚染地区では「土やホコリの微粒子を口や鼻から取り込まない」ことが重要である.


 病源体,というか,一般に微生物を扱う基本はパストゥールが「自然発生説」を否定した実験である.当時は微生物は自然発生すると信じられていた.スープを放置すると腐敗する.それを顕微鏡で見ると,たくさんの微生物がいる.これはスープの成分に,ある種の「力」が働いて,生命体へと変化したのである.その「力」は気体のようなもので,空気中に存在しているのだ,と.これを「生気説」という.
 これに対しパストゥールは「芽胞説」を唱えた.スープが腐敗するのは空気中にいる微生物(芽胞)がスープの上に落ちて,そこで増殖したからだ.

 この論争では,どちらも同じ程度に現象を説明できた. 詳細を省略しますが,要するに「生気説」と「芽胞説」との議論の分かれ目は,スープに生命を発生させる「生命の元」が,生気説では気体であるのに対し,芽胞説では固体であること.つまり「芽胞」は非常に小さいけれど,しかし重さをもった微粒子である.微弱な風に吹かれて容易に舞い上がり空気中に浮遊していることも多いけれど,無風状態ではやがて地上に降り積もる.

 つまり「芽胞」(今の知識でいえばバクテリアとかカビの胞子とか)は,要するにホコリの一部である.だから芽胞が入り込まないようにするには,ホコリが入り込まないようにすれば良い.ホコリは入り込まないが,気体は流通するという条件下で,もしスープが腐敗すれば「生気説」が,腐敗しなければ「芽胞説」が正しいことになる.そこでパストゥールは,先端がS字状に曲がったフラスコを使った有名な実験をした.こうして芽胞説のほうが正しいことを証明した.


 バクテリアは大きさが1ミリの千分の1とか,そういう「微粒子」です.ウイルスはさらに小さくて,ほとんど分子レベルの大きさになる.ただ,たとえばインフルエンザのウイルスは,咳や痰に混じって出て来て,外界で水分が蒸発して小さなカタマリとなる.そういうカタマリ,つまり微粒子を吸い込まないように,マスクをすることは予防に効果がある.

 もう一度書きます.微生物とはホコリのようなものである.完全無風状態では,やがて地上に降り積もる.微弱な空気の動きで舞い上がり,空気中に浮遊する.それを吸い込むと,微生物を体内に取り込むことになる.ホコリが付着した食物を食べたり,ホコリのついた食器や手を使っても同じこと.
 ホコリは原則として上から降ってくる.だから空気中にホコリがあるときは食物にフタをする.牛乳やジュースなども,できるだけフタをする.

 放射性物質もホコリのようなものである.だから放射性物質を体内に取り込まないための注意とは,微生物を取り込まないための方法と共通する部分が多い.
 しかし,そういうことを「知っている」だけでは,たぶんダメでしょう.実験室や手術室で,微生物による汚染を避ける「無菌操作」は,それなりの教育を通じて習得されるものである.だから被災地の人たちにも,放射能を取り込まないための,それなりの教育を実施する必要があると私は思います.
(転載おわり)

 放射性物質は「ホコリのようなもの」と書いてしまった.事故直後ならともかく,今は様子が違うかもしれない.ただ当時,ホコリのような形で存在している放射性物質について政府もマスコミも何も言わなかったので,その点への注意を喚起したかった.そういう趣旨の記事です.

秘密保護法インタビュー (3)

 中谷元氏へのインタビュー.2013年12月にブログ「浦戸湾」
http://blog.livedoor.jp/uradowan/archives/51834659.html
に掲載した記事を,こちらに転載しています

2013年12月26日
秘密保護法インタビュー (3)
 中谷元氏へのインタビュー.高知新聞の記事「問う,特定秘密保護法案」を転載しています.2013年12月22日の朝刊です.記事は今回で終りです.

 なお高知新聞は,中谷氏の地元である高知県の,代表的な地方紙です.地元高知県での取材ということで,中谷さんも心なしかリラックスしているように見えます.


(以下転載)

【法成立の過程 「推進役は警察官僚」】

- 中谷さんが、秘密保護法制の研究に携わったのはいつからですか。

 「8年くらい前ですね。情報に関する国の体制をつくらねばと、自民党にインテリジェンスの機能強化に関するプロジェクトチーム(PT)ができ、秘密保持とインテリジェンス機能の強化を検討してきました」

- PTの始まりは、どういう形で?

 「内閣情報調査室(内調)の人とか限定メンバーで。外務大臣を経験した町村(信孝)さんが情報機能が足りてない、と。(最初10人くらいの)メンバーは、なかなか会に出て来ない。町村さんと私はできるだけ出ていました」

- その後は?

 「民主党の菅政権の時に情報保護の有識者会議ができ、報告書が野田内閣の時にできました。法案化の動きは野田内閣の時に始まったんですね」

- PTが頻繁になってきたのは?

 「国会でNSC(国家安全保障会議)法案と秘密保護法案をやらなきゃという時ですね。秘密保護法が検討され、原案なるものが持ち込まれました。(今年9月3日に)パブリックコメントの募集をかけましたが、その1カ月くらい前です」

- 原案はどこが作成したのでしょうか。

 「それは政府提出だから。内閣から。内調でしょう」

- PTに対する説明役は内調のスタッフ?

 「そうです。10回くらいと思います」

- その時に警察庁出身で内調トップの北村滋さん(内閣情報官)はいましたか。

 「いましたよ」

- 説明役だった?

 「そうでしょう」

- 秘密保護法を中心的に担ったのは内調の中の警察庁組と言われています。中谷さんもそういう認識ですか。

 「そうです。やはり(情報は)警察が握るんだという考えもあって。本当にそれで大丈夫なのかという意識はあったね、最初は」

- 警察が法成立の推進力になってることに違和感があった?

 「日本版NSCで各省庁の情報を活用する際、(警察庁にそれらの情報を)吸い上げられて本当に大丈夫かな、という意識はありましたけどね」

- 警察官僚が情報を牛耳るのではないか、という懸念ですか?

 「そうじゃなくて、NSCとして判断する際に、情報コミュニティーから情報が本当にどんどん(NSCに)出て来るのかな、と。ただ彼ら(警察官僚)も法 案を通さなきゃいけないんで、もう徹夜徹夜の連続で血眼でした。修正協議でどんどん修正点が出てきて、非常にバタバタしてました」

- 警察が優越するのではないかという中谷さんの不安は解消されたのでしょうか?

 「まあ、そうですよね。やっぱり作っとかないといけないことなんで、形にしなきゃいけないという思いでやりました」

- この法は、既に秘密保持の法規定を持つ防衛省にはメリットがなく、警察の公安部門が力を増すように思えます。

 「単に警察が(情報を)独占するというより、各省庁が入った組織もでき、外部の識者もその報告を聞くことになりました。そういう面では情報の流れというのは良くなると思います」



【国会答弁 将来も守れるか】

- 法律は、制定者の考え方や約束が将来も担保されるものでしょうか。制定者の考えを超えて運用されたり解釈されたりする例は、たくさんの実例がありま す。1999年制定の国旗国歌法は当時の小渕恵三首相が国会で「強制しない」と何度も明言しています。日の丸などへの賛否は別にして、首相の約束が守られ ていないと思いませんか。

 「その時の政府が答えたことが残っていますから。法律に基づく運用とか考え方は、残ると思いますよ」

- その関連で。中谷さんが防衛庁長官だった2002年、陸海空の調査隊を改編し、各自衛隊に情報保全隊をつくろうとしていました。「情報収集は民間人も 対象になるのか」という国会質問に対し、中谷さんは「情報漏えい防止の一環としてつくる。あらかじめ防衛秘密を取り扱う者として指定をした関係者のみに (調査対象を)限定する」と答えていました。

 「そうでしょうね」

- ところが07年、国会答弁をほごにする事実が明らかになっています。陸自情報保全隊(03年改編)が、自衛隊のイラク派遣に反対する市民集会やジャーナリストや文化人の動向など一般市民も情報収集の対象にしていました。

 「一般的な情報収集ではないですか? 情報収集としては許される範囲だと思います」

- 情報保全隊は、集会で参加者の写真を撮るなどしていました。

 「反対してる人の意見も傾聴に値するものもたくさんありますからね」

- 当初の国会答弁と運用が変わったということじゃないですか。

 「そうは思いませんね」

- 国会答弁で言ったことは何の約束にもならないということですか。秘密保護法についてもそれを懸念しています。国会答弁の内容が後に拡大されたり、違う解釈がされたり。

 「(問題の情報収集は)通常の業務で許されると思いますね」

- この問題では調査された側の市民が慰謝料を求めて提訴し、12年3月に仙台地裁で判決が出ています。人格権侵害に当たるとして国は敗訴しました。

 「それなりの正当性は(国も訴訟で)主張してると思いますね」

- 国会答弁と違う内容の仕事が行われたわけです。答弁内容が担保されていません。

 「そうでしょうかね。本来業務は答弁した通りなんですけど、開かれた場所で話された内容を集める。(市民からの)情報収集も許されると思います」

- 許されると思っているのに、当初は「調査対象は自衛隊関係者のみに限定」と答えたんですか。秘密保護法に関する答弁もどこまで担保されるのか。だから こういう曖昧な法律はまずい、と多くの法学者や弁護士たちが懸念しています。秘密保護の仕組みは必要だという人でも、この法律はまずいでしょ、と言ってい ます。

 「(市民対象の情報収集は防衛省側が)知ってどうかしたという話じゃないんでしょ? こんな話がありましたという話でしょ?」

- 市民の動向を、反自衛隊活動と分類しています。

 「分類の仕方は知りません。チェックというか、そういう方々の意見を聞いて、自分の考え方とかの参考にしますけどね」

- 監視していたんです。

 「そこまでやってないと思いますけど…」

- やっていたと、訴訟で明らかになりました。

 「03年に調査隊を廃止し、情報保全隊をつくりました。組織が変わって、多少任務は広がっている部分がある。もともと『調査隊』ですから、情報を調べる任務はあったと思うんです。それに『保全』の任務が入ってきた。そういうことだと思いますけどね」



【丁寧な政治 できているか】

- 法の成立後、安倍首相は会見で「反省をしている」と述べました。一国の総理が一本の法律を通した直後に反省する。極めて異例と思いませんか。

 「この法の真意、内容を十分に伝えることができなくて、懸念とか国会の運びとかに、国民のご意見があると。そういう意味で言われたと思います。でも私は 現場として、衆議院は国会の論戦の中で非常に濃密な内容で答弁もし、修正も行った。衆議院段階で43時間、しっかり議論ができたと思います」

- 憲法学者、弁護士、作家、俳優、いろんな人たちが反対しました。どうして反対したとお考えですか。

 「非常に拡張された(条文の)解釈によって、とんでもないことになるということだと思いますが、思想信条は自由ですから。自由がなくなるとか、暗い世の中になるとか思っておられると」

- 日弁連も何度も反対声明を出しています。それも思い込みだと?

 「ま、思い込みというか、そういう論者としてやってると思います。臆測とか推測でそう思われるのは自由なんですが、そうならないようにします」

- 法成立後の世論調査では国民の結構な割合が懸念を示しています。

 「法律の真意が伝わっていないんです。伝える側がしっかり伝えてほしいと思う」

- おかしいことを指摘し続けることは健全だと思いませんか。

 「そうですけど、懸念がないように精いっぱい努力をしてきた。そういうことも伝えてほしいと思います」

- 中谷さんはこれまで、憲法については無理のある解釈改憲ではなく、手続きを踏んで改正すべきだとし、安倍さんらへの批判も口にしておられた。「政治は丁寧にしなければならない。私は党内で歯止め役になる」とも言っていた。

 「憲法については実際に改憲案を出し、どうでしょうかと国民の意見を聞きながらやってます。きちんと手続きを踏んでやっているつもりです。今回の秘密法も、自分の信条に反してやってるつもりはないです。歯止めというか、必要性があるからやってるという認識です」


(おわり)

秘密保護法インタビュー (2)

 中谷元氏へのインタビュー.2013年12月にブログ「浦戸湾」
http://blog.livedoor.jp/uradowan/archives/2013-12-25.html
に掲載した記事を,こちらに転載しています.

2013年12月25日
秘密保護法インタビュー (2)
 中谷元氏へのインタビュー.高知新聞の記事「問う,特定秘密保護法案」を転載しています.記事の日付けは2013年12月21日と22日.いずれも朝刊です.

 なお高知新聞は,中谷氏の地元である高知県の,代表的な地方紙です.


(以下転載)
【適性評価は誰が? 「民間人 警察に照会も」】

- この法の下では、特定秘密を扱う人を決める際、事前に適性評価(右に条文)を行うことになっています。特定秘密は防衛関連産業など民間事業者も扱う。民間事業者に対する適性評価は誰がやるのでしょうか。例えば、外務省の取引先なら外務省の職員が民間人を調査するのでしょうか。
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 「その企業が指定するんじゃないかな。まず、本人の同意を前提で資料を出してもらいますよね。それに基づき調査します」

- 法の規定では、行政機関の長が適性評価をするとなってます。でも現実、大臣らが一人一人を調査できませんよね? 誰が現場で調査や評価をするんでしょう?

 「行政の中の人でしょうね。行政機関の長の責任において、担当職員がやる」

- 外務省職員が、民間人の借金の有無を調べる? 飲酒状況も外務省職員が調べる?

 「調べるんでしょうね。(特定秘密を)漏らされたら困りますからね」

- 適性評価を担当する現場の実務者は誰なのか。筆頭理事としてやって来られた中で、そういう議論は全くされていないのですか。

 「省の責任において(調査を)委託するわけですから、その省が責任を持って調べるということです」

- 外務省が警察庁長官や県警本部長に依頼して調べるというようなことは、議論されてないんでしょうか。

 「関係機関に照会することになっています(12条4)」

- 関係機関は警察組織も含んでいるんでしょうか?

 「そうです。警察署みたいな出先にね。条文に書いてますよね。公務所に問い合わせができる、と。それは当然だと思います。(特定秘密を)漏らすような人には仕事を頼めませんからね」

- 民間人の適性評価を、現実には警察の情報に基づいてやる場合もあると?

 「警察に照会することもある。必要な範囲で。本人の同意を前提に」

- 本人の同意について内閣官房作成の逐条解説には、こう書かれています。「評価対象者が把握されることを想定していないプライバシーに深くかかわる個人情報についても、実施権者が取得する必要がある制度である」と。こんなことまで調べられるとは思わなかった、という部分まで調べられる可能性が否定できません。

 「それは必要上、調べるでしょう。調べないと、(特定秘密の扱いを)任せられない」

- 12条に列挙してある調査事項の7項目を超えて、調べる必要があると?

 「まあ、7項目を聞くわけですよ。それに対して必要な範囲で調査はします」

- 12条には「評価対象者の知人その他の関係者に質問」と明記されています。本人同意があっても、その人と交友関係にある人は、同意なく調査されるわけですね。

 「そうですね」

- 全く自分の知らないところで、同意したこともないのに、一市民が調査対象になりますね?

 「まず、質問はします。行政職員が。警察が調べるかどうか知りませんけど」

- 適性評価の対象者としてAさんを調べるとしましょう。Aさんに親しい友人がいる。その友人が何かの団体に属していたとして、そういうことも調べられることがあるわけですね?

 「かつて防衛庁の委託した中に特定団体の人が含まれていた事件がありました。(特定秘密の扱いを民間に)お願いする以上はそういう要素がないようにすると思いますけど。私もいろんな友だちがいます。(適性評価は)総合的に、この人は大丈夫かどうか判断するんでしょう。大事な仕事を託すわけですから」

- つまり、第三者がいつの間にか属性などを調べられる。それで言えば、思想信条の自由を保障し、それらによる差別を禁じた憲法よりも、法律の運用が上位に来る危険性はありませんか。

 「けど、車の運転と同じように、ある程度の技能とかがないと、危なっかしくて運転させられませんよね」

- 思想信条で運転させない、という考え方は聞いたことがありません。

 「能力です。資質。それを見分けないと(特定秘密が)漏れてしまいますから」




【法の必要性 「米国以外から要請なし」】

- 中谷さんは秘密保護法成立後の11日、日本外国特派員協会で会見し、法が必要な理由として、外国から機密情報をもらうためだ、との趣旨を最初に語っています。そして、アルジェリアの人質事件(今年1月)を例示している。あの時、この法制度があれば、邦人救助に必要な情報が得られたんでしょうか。

 「そう思います。テロ情報、フランス軍の機密も必要だし、イギリスの情報も必要。そういう情報がなかなか得られなかったのは、日本に情報を提供して本当に大丈夫か、と(外国は)思っているからです」

- 日本の法整備が不十分だから情報を渡せない、と実際にフランスから指摘があったんでしょうか。

 「それは聞いてません。けど、現実になかなか情報が集まらなくて」

- それは法制度がない、という問題だったんですか。

 「日本に情報を渡しても安全ですよ、という形がないからです」

- 事件前、フランス軍にテロ関連の情報を教えてくれと、日本側から働きかけたことはあったのでしょうか。

 「あんまり、なかったんじゃないかと」

- 法制度がないから情報提供できないと、米国以外の国から言われたことはあるのでしょうか。

 「ないですね」

- ところで防衛省には現在、「防衛秘密」があります。秘密保護のルールが十分できている。

 「まあそうです」

- とすると、新法を作る必要性はどこにあるんでしょう?

 「(各省庁の情報管理が)バラバラでいいんでしょうか。今でも非常にレベルの高い秘密がありますが、各省運用がまちまち。ルールが細かく決まっていません」

- 閣議決定や訓令達などで省内ルールを変えれば、新法を作らなくても、ルール統一ができたのではないでしょうか。

 「法律でしっかり、規則を作った方がいいと思いますよ。指定の基準とか、在り方とか。(国会審議の中で)官僚が恣意(しい)的に指定をしたり運用したりするのではないか、という懸念が出てきた。(今回の法律では)第三者組織がそれをきちんと監督、指導するということです」

- 官僚が官僚をチェックするわけですよね? きちんと機能しますか。

 「各党で協議して、そのような(第三者)機関を設置すると決めて、政府も審議の中で作ると明言したわけだから、それで良しと。まあ一応、形は整ったと思いますよ」

- (国会に置く方針の諮問機関について)来月外国に視察に行くそうですが、法案を作る前に行くべきじゃないですか。

 「まあ、そういうものを作ることになったんで。私は真摯(しんし)に(審議を)やったつもり。これほど修正がたくさんなされたというのは成果だと思う。与党筆頭理事としてこの法案を良いものにして、国民の納得が得られるようにという思いでやってきた。要は、成立をさせたかったということですよ」




【国会との関係 「行政のチェックは総理が」】

- 立法と行政の関係についてお聞きします。特定秘密の国会などへの提供は、10条に規定がある。当初の法案は行政機関の長の判断で国会に提供「できる」でしたが、修正協議の結果、「するものとする」となりました。国会への提供は、これで義務規定になったと言えますか。行政機関に裁量の余地を与えないなら、「しなければならない」という条文ではないですか。

 「同じ意味だと思います。『するものとする』でいいじゃないですか。あんまり、こだわらなかったですね」

- 普通、「するものとする」という表現は最大限の努力を払う、という程度の義務規定だと思いますが。

 「まあそうです。行政は国民の生命と国の安全を守るという仕事を責任持ってやってるわけだから、国会によって秘密が漏えいした時に、それ(行政の仕事)ができなくなることは、行政権を侵すことになるんじゃないでしょうか」

- 条文には「わが国の安全保障に著しい支障を及ぼす」と行政が判断した場合は、国会にも提供しない、となっています。

 「そうですね」

- 行政に対して、国権の最高機関である国会が及ばない部分ができてしまう。

 「まあ、各省の大臣は過半数を国会議員、総理大臣も国会議員から選んでいるので、国会の意思というものは、行政に働くと思いますよ。すべてがすべて、公務員がやっているわけではないから、行政は」

- 大臣は公務員だと思います。

 「まあ、そうですね」

- この法では、特定秘密を得た国会議員がそれを漏らした場合なども処罰対象になりかねません。そうすると、院内での発言については、院外で責任を問われないという憲法51条と矛盾しませんか。

 「そこが課題。憲法の規定をどう読むかということです」

- 秘密保護法の下では、行政に対する国会の監視機能がなくなる、と危惧する方がいっぱいいます。内閣・行政が国民に背くような不正をしていた場合、その情報を知ることができないわけですから。内閣や行政の責任を問うことが事実上できなくなります。

 「衆院が内閣不信任決議案を出したりよね。そういう権利はあると思いますけどね」

- 情報を知らない以上、不信任決議案も何もできないのでは。

 「日本は議院内閣制です。院の代表が総理大臣になって行政を監視しながら行政を運営しているわけだから、その辺はチェックできると思います」

- 中谷さんは今、与党です。仮に野党の立場になった場合、その政権が自民党には何も情報を出しませんよ、となったら? そういう世界はやっぱりまずいと思いませんか。野党として政権をチェックできますか。

 「国にとって大事な情報は、外に漏れては行政が困るんです。じゃあ、野党にそういう情報提供して、本当に漏れないという確証があるか。野党は今の政権を批判するわけだから。野党の方に情報が行って、漏れない確証があるのか」

- 大切な情報はあると思います。でも、行政に都合の悪い情報も特定秘密になる可能性があるのでは?

 「法に基づいて指定するし、是非を判断する機関ができるわけだから。そこで監視、監督はされると思いますよ」


(つづく)
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