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比率が一定であるということ

 今年(平成26年)の東京都知事選で当選した舛添氏の得票数が,東京23区のどこにおいても,平成24年に当選した猪瀬氏の得票数の48%であったことから,そういう規則性がなぜ起こったのかを調べている.都知事選の過去データを,もう少しいじってみよう.
 5月8日の記事で「散らばりの小ささ」について書いた.得票の比率が,どの区においても0.48程度であったということは,比率は区ごとにあまり違わない,つまり変動が小さいということだ.そこで比率の数値の「分散」を比べたのが5月8日の記事だ.
 そのとき問題になったのは,比率の数値が大きくなると分散の数値も大きくなること.この点に対処するため,今回は比率の数値を平均値で割り算してから比較する.
舛添-猪瀬の場合.jpg
 具体的に説明しよう.右の表は平成26年の選挙での舛添氏の獲得票数(H26舛添)をH24猪瀬で徐算した数値である(コラムA).この数値の23区の平均値は0.486,分散は0.00026となる.
(表はクリックすると大きく表示されます).

 この分散の値を他の事例と比べたいのだけれど,それは平均値が同程度の事例としか比較できない.そこで今回は,コラムAの各数値を,平均値0.486で徐算した(コラムB).そうすると,コラムBの数値の平均は1に近い数値となる.そして分散の値(この例では0.00112)を,同じように計算した他の事例と比較することが可能となる.

 計算結果を下の表に示してある.当選者である石原氏-猪瀬氏-舛添氏の系列のほか,2回以上立候補した人の得票比を,比較のため示した.ただし,あまりに得票数の低い候補はハズした.

 上記のように計算した分散(B分散)の値を比べて頂ければよい.またB分散の値を H26舛添/H24猪瀬 のB分散値で徐算した「分散比」も示してある(注).分散比の目安としては,2.04なら確率5%,2.78なら確率1%である.たとえば H19石原/H15石原 は3.03で,1%の限界値2.78より大きい.つまりH26舛添/H24猪瀬 に比べ,23区の間での変動は極めて大きい.統計学的に「有意な」違いがある.

(注)23個の数値から分散を計算したので,分散比は第1自由度22,第2自由度22のF分布に従う.だからエクセルの関数FDISTを使って,分散比の値から確率を計算できる.


得票比の分散比.jpg

 なおA平均の値は,2回の選挙での得票数の比を概略表わしている.H15石原はH11石原の1.9倍,H24中松はH23中松の2.7倍もの得票をしていて,どちらの例でもB分散が大きくなっている.一方,H24猪瀬はH23石原の1.6倍の得票をしているのに,B分散は極めて小さい.

 得票数の大きな変動にもかかわらず,石原-猪瀬-舛添の系列では,23区間の得票比率は極めて変動が小さく,一定比率のまま維持されているという現象は,どのように説明できるのだろうか?

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