SSブログ

比例関係

 東京都知事選挙で,東京23区のどの区においても,平成26年の舛添氏の得票数が,平成24年の猪瀬氏の得票数の48%である,という不思議な現象を調べている.

 これらの候補の得票数は,それぞれの区の有権者数とみごとに比例している.この点が他の候補と違っている.元データは東京都選挙管理委員会のホームページにある.下左の図は平成26年の都知事選の結果で,横軸に各区の有権者数を,縦軸にその候補者の各区での得票数をとったグラフ(散布図)である.候補者が16人もいた乱立選挙だったけれど,投票率は極めて低かった.このグラフには4人の候補者の得票だけが図示されている.どの候補の得票数も,有権者数と多少とも比例している.しかし舛添氏の得票は,この比例の度合いが際立っている.

 図はクリックすると拡大します.
H26グラフ.jpg

 また右側のグラフは横軸に有権者数ではなく投票者数をとっている.やはり舛添氏の得票は直線上に乗っているけれども,その度合いは有権者数の場合ほどではない.その他いろいろな事が,このグラフから示唆される.


 次のグラフは平成11年の都知事選の結果である.この時の当選者は石原氏.やはり当選者の得票数は,かなり直線に乗っている.しかし横軸に有権者数をとるよりも,投票者数をとった方が,より直線に近いようにも見える.

H11グラフ.jpg

 東京都知事選は平成11年,15年,19年,23年,24年,26年に行われた.うち始めの4回は石原氏が,平成24年は猪瀬氏が,そして26年は舛添氏が当選した.平成11年より前の選挙結果は,都選管のホームページには出ていない.さしあたりデータの利用できる上記計6回の選挙結果を,図と同じようなグラフにすると,次の2点が示唆される.

1.どの選挙でも,最高得票者(つまり当選者)は,得票数がみごとに直線に乗っている.
2.平成23年以降の3回の選挙では,当選者の得票と有権者数との直線関係は,投票者数との直線関係よりも,より顕著である.


 グラフを見ての判断だから,客観性に欠けるという批判も成り立つ.だから,上記の2点は,本当はきっちり計算して「証明」する必要があるが,今回はグラフの提示に留めておく.とにかく上記1の直線性,つまり著しい比例関係の存在ということが,H26舛添/H24猪瀬 の得票比が0.48だとか(上記),H23石原/H24猪瀬の得票比が 0.60 である等の原因である.

 比例関係がある,ということを,どう理解すれば良いのだろう?
 得票数が多い時は比例関係が目立つようになるのだろうか.
 その場合,投票者数よりも有権者数との比例関係がより顕著であるらしいのは何故か.
 選挙ごとに投票者数が変動し,当選者の獲得票数も大きく変動している.にもかかわらず各区での獲得票数が有権者数ときっかり比例する,という現象は,どういう仕組みによって起こったのだろうか.

 都知事選のデータを,もう少し調べて行きたいと思う.


追記.
 上記のうち2は正しくないかもしれない.2つの相関係数,「当選者の得票数 対 有権者数」と,「当選者の得票数 対 投票者数」を比べてみた(下の表).相関係数が1に近いほど,点は一直線に乗っているはずだ,H11の石原氏の得票数も,投票者数よりは有権者数と,より相関している.より投票者数と相関していたのはH15とH23であった.いずれにせよ大きな違いではないが,H26の舛添氏の得票だけが,投票者数ではなく有権者数とはっきり関係しているように見える.
“相関係数まとめ.xls”のプレビュー.jpg

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。