SSブログ

もっと論議を

 特定秘密保護法(案)の問題点として,
1.何が秘密で,何が秘密でないか,が明記されてない.
2.秘密を漏らした人だけでなく,漏らすように共謀,教唆,扇動をした人も有罪となる.
3.その行為が完遂されず,「未遂」に終わった場合も,有罪となる.
などが挙げられる.

 また懲役10年とは大きな罪であり,こういう重罪の場合,逮捕状がなくても,また警察官でなくても,逮捕できる.
 そういう法律(案)である.

 どこかで聞いた話の受け売りになるけれど,次のような可能性を指摘する人もいる.

1.
 ある日,旦那が職場から不機嫌な顔をして帰宅した.そこで夫婦の間でこういう会話が交わされた.
妻「何があったの?」
夫「それは言えない」
妻「じゃ,どうしてそんな不機嫌な顔してるの?」
夫「言えない」
妻「何言ってるの.きちんと話してくれなきゃダメじゃないの」

 というわけで,このとき夫が「言えない」内容が,「特定秘密」に該当する事項を含んでいたとしたら,妻の行為は秘密を漏らすように「教唆」したことになる.


2.
 ある原発の門前で,核燃料の持ち込み,持ち出しに反対する集会をやっている.そこに荷物を満載しているらしいトラックがやって来た.
市民「核燃料の搬入には反対だ」
原発所員「いや,これは核燃料ではない」
市民「では何なのだ.何が積載されているのだ?」
他の市民「そうだ,そうだ! 中身は何なのだ?」

 もし積載されているものが「特定秘密」に関わるものなら,この市民の発言は,秘密の漏洩を「教唆」「扇動」したことになるかもしれない.そのようにして,この市民を懲役刑に処することが可能かもしれない.


 どちらも極端な例のように聞こえるかもしれないけれど,条文を見る限りは,これらの可能性を完全否定できない.かつて日本では,社会が暴走を始めて,とんでもない愚かな思考論理が横行した.そういう経験を忘れてはならない.

 こういう疑問を政権の中枢にいる政治家にぶつけたら,「そんな事ありませんよ」と笑い飛ばすだろう.そういう悪意のある法案ではありません,と笑顔で答えるかもしれない.しかし,政治家は真実を語らないことを,もう日本人は学ばねばならない.嘘でないとしてもそれは,その政治家がその役職に留まっている期間に限られる.その程度の「賞味期限」の発言が,特に最近は多い.

 文頭に秘密保護法案の問題点を3つ書いたけれど,やはり最大の問題は1の,何が秘密で何がそうでないかを市民が知るすべがないこと,かもしれない.何か悪いことをしているという自覚もないまま,うっかり地雷を踏んでしまうことも起こりうる.一介の市民が,ある日とつぜん逮捕されることも,大いにあり得る.

 特定秘密保護法案の問題点が,もっと活発に,もっと多くの人々の間で,論議されねばならない.

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。