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性の効用

生物には性(sex)がある.なぜ性があるのか? なぜオスとメスなのか? その他,性をめぐる疑問は,生物学の大きな課題である.

 セックスによって子孫を作る.これを有性生殖という.有性生殖は通常,減数分裂と受精とから成っている.受精とは2つの細胞核が融合して1つになる現象.

 有性生殖の反対は無性生殖.細胞が分裂して増えたり,イモから芽が出て植物体を作ったり,いろいろある.しかし共通していることは,減数分裂も受精もないこと.細胞が分裂して増えることだけに依存して生物が増殖して行く.これが無性生殖.

 有性生殖によって生物は遺伝子を混ぜ合わせる.それによって多様な遺伝子の組み合わせができる.有性生殖がもたらすものは多様性だ.これは無性生殖が単にコピーを作ることと対比される.多様性は生物が病原体と戦ううえで必要なのだ.だから生物にはセックスがあるのだ,と主張するのが「赤の女王」説.

 さて,ゾウリムシの接合を調べれば,有性生殖には「遺伝子の混ぜ合わせ」のほかに,もう1つの働きがあることが推測できる.それは「若返り」だ.


 ゾウリムシの接合は有性生殖である.つまり減数分裂と核の融合を含んでいる.接合をしたゾウリムシは若返る.そして活発に分裂を重ね,やがて再び「成熟」する.つまり接合が可能な状態になる.この段階で首尾よく接合できれば良いけれど,実験的にゾウリムシが接合できないようにすることもできる.接合できないまま分裂を重ねると,やがて分裂の頻度が落ちてくる.つまり「老化」が起こる.そして,やがて死に絶えてしまう.

 なぜ接合(有性生殖)によって若返るのか? そもそも老化とは加齢とはどういう現象なのか? これらの問題解明に,ゾウリムシは絶好の研究システムを提供してくれている.
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