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得票数 vs 有権者数

 2回の選挙での得票数の比率,という切り口は重要である.しかし複数回の立候補をした人で,かつ一定以上の得票をしている人となると,例数が限られてしまう.そこで各候補者の得票のパターンを比べるために,得票数と有権者数の比率をとってみる.
“h26宇都宮.xls”のプレビュー.jpg
 つまり前回の記事「比率が一定であるということ」で説明した計算方法を,そのまま採用する.ただし今回は「得票数/得票数」ではなく,「得票数/有権者数」の比率を出発点とする.

 具体的に説明しよう.右の表は平成26年の都知事選での宇都宮氏の得票(x)を示している.
(表はクリックすると拡大表示されます).
 得票数(x)を,この時の有権者数(y)で徐算して100を乗ずる.つまり「有権者数の何%の得票」という数値(z)を,23区すべてについて算出する.これが「得票数/有権者数」の比率(の100倍)である.前回の記事で「得票数/得票数」の比率となっていたところ(コラムA)に相当する.

 あとは前回と同じです.コラムAの平均mを計算する.この例ではm = 8.961となった.次にコラムAの数値を m で徐算する.これがコラムBの数値.
 この数値の平均は1に近い値となるはずだ.そしてコラムBの分散(B分散,
この例では 0.01867)を,同じように計算した他の候補の分散と比べることができる.

“有権者数を分母.xls”のプレビュー.jpg
 このように計算したB分散の値を比較したのが右表だ.H26では舛添氏のB分散が最も小さく,他候補のB分散を舛添氏のそれで徐算した「分散比」は,いずれも1%の限界値2.78より大きい.つまり舛添氏の区ごとの得票は,それぞれの区の有権者数と比例していて,その度合いは他候補よりはるかに顕著である.

 なおA平均の値は,その候補が有権者数の何%の票を獲得したかという数値を概略表わしているので,参考にしてください.

 H24も当選者(猪瀬氏)のB分散が最小となっている.これを分母として分散比をとると,猪瀬氏の分散の小ささが際立っている.

 H23でも,B分散は当選者(石原氏)が最小である.しかし分散比の値が示すように,この時は渡辺氏や東国原氏も,得票数が有権者数とよく比例していて,石原氏のB分散と「有意な」違いはない(違いがない数値に*印を付けてある).以下,H15の中松氏,H11の舛添氏や三上氏も,区ごとの得票が有権者数とよく比例している.これらの人は効率よく票数をかせぐ秘法を持っているのかもしれない.

 最後に,多少強引ではあるけれど,今回の数値(得票数/有権者数)を前回の「得票数/得票数」の数値と比べてみよう.2つずつ並べてみる.上が今回の,下が前回のB分散である.

H26舛添/H26有権者数  0.00371
H26舛添/H24猪瀬    0.00112

H24猪瀬/H24有権者数  0.00172
H24猪瀬/H23石原    0.00081

H23石原/H23有権者数  0.00406
H23石原/H19石原    0.00163

H19石原/H19有権者数  0.00435
H19石原/H15石原    0.00339

H15石原/H15有権者数  0.00621
H15石原/H11石原    0.01999

 H19以後は当選者の得票数は,有権者数よりも前回の選挙結果と,より強く関係づけられる.しかしH15石原の得票数は,有権者数との関係のほうが,前回の得票数との関係よりも顕著である.この選挙で石原氏は前回の1.9倍の得票数を得ていて,こういう場合は前回の比率が維持されにくいのかもしれない.
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Ladybird

 shira様,nice!をありがとうございます.
by Ladybird (2014-05-24 07:22) 

Ladybird

 くらいふ様,nice!をありがとうございます.
by Ladybird (2014-06-11 09:21) 

Ladybird

 ayu様,nice!をありがとうございます.
by Ladybird (2014-10-31 02:34) 

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